糖尿病とは
人生において日常生活に障害を及ぼす疾患は何でしょう。とてもおおざっぱに言えば、悪性疾患(癌)、動脈硬化性疾患(脳梗塞や心筋梗塞等)、認知症ということになると思います。糖尿病は高血圧症や脂質異常症と同じように動脈硬化性疾患の発生を増加させ、また、細小血管合併症とよばれる腎症や網膜症等にもつながります。糖尿病の方には悪性疾患が多いという統計もありますし、認知症を発症しやすい傾向もあります。
糖尿病は血液中の血糖値(ブドウ糖濃度)が高くなる疾患ですが、原因は遺伝的要因もありますが食事や運動等の生活習慣です。生活習慣の改善で良好なコントロールにならない場合は、内服やインスリンでの薬物治療が必要になります。このような糖尿病の方は、平成26年の厚生労働省の統計によれば316万人です。
糖尿病の検査
血液中の血糖値の異常ですので、採血が必要です。採血では、採血をした時点の血糖値と1~2か月前の血糖値の平均をあらわすHbA1cをチェックします。糖尿病から腎臓が悪くなることもあるので腎機能の評価も行いますし、また網膜症を発症する可能性もありますので眼科の先生との連携も重要です。さらに、動脈硬化の程度をみる血圧脈波検査(PWV/ABI)を行うこともあります。糖尿病は全身疾患と言えますので、このように全身に目を配ることが大切です。
糖尿病の治療
ひとことに糖尿病と言っても、様々な種類の糖尿病があります。1型糖尿病と言って、若年で発症し、早期にインスリンによる治療が必須となる糖尿病もありますが全体の約5%であり、多くは2型糖尿病といわれるものです。また、2型糖尿病の中でも様々な病態(年齢、やせ形であるか肥満であるか、内因性インスリン分泌が十分であるのかないのか、合併症の進行度等々)があり、薬物療法を行う際にはこれらを考慮することになります。また薬物には、内服、インスリン、インスリン以外の注射薬がありますが、近年は新しい薬物が次々と使用できるようになってきました。内服(経口血糖降下薬)だけみても7種類の薬剤があり、注射薬も同様に多くが使用できる状況で、時には専門の医師によっても処方が異なることもあります。治療の目標は食事・運動療法、薬物療法をあわせて血糖値を下げ、まずはHbA1c 7.0%未満を目指し合併症の発症を避けることですが、極端な低血糖にも注意しなければなりません。